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知的財産高等裁判所第2部 令和8年10月7日 令和7(ネ)10027等 判決・控訴棄却、附帯控訴に基づき原判決一部変更

地方公共団体のキャラクターに関連して、事業者によるキャラクターの利用に黙示の許諾があったとして反訴請求を退け、地方公共団体の取引先への書面送付等を不正競争と認めて、損害賠償額を1887万7802円に変更した。

損害賠償本訴請求、使用差止め等反訴請求控訴、同附帯控訴事件

事案
着ぐるみのキャラクターを使用して活動していた事業者(被控訴人)に対し、地方公共団体(控訴人)は、事業者の取引先への書面の送付や、代表者の記者会見での発言等を行った。事業者は、これらが不正競争防止法2条1項21号の不正競争に当たり不法行為になるなどとして、損害賠償を求めた(本訴)。地方公共団体は、事業者のキャラクターの利用が、自らが著作権を有するキャラクターの翻案権等や自らの商標権の侵害、不正競争に当たるなどとして、差止め、廃棄、損害賠償等を求めた(反訴)。原審は、本訴を損害賠償金786万2347円等の限度で認容し、反訴を、地方公共団体が事業者にキャラクターの利用を黙示に許諾していたなどとして、棄却した。双方が不服を申し立て、事業者が附帯控訴した。
争点
地方公共団体は事業者にキャラクターの利用を黙示に許諾したと認められるか。許諾を撤回し、解約し、又は解除することができるか。事業者の取引先等への書面送付や記者会見での発言等は不正競争に当たるか。損害額はいくらか。
判断
原判決を補正して引用し、地方公共団体は、遅くとも平成29年12月初めまでに、事業者に対し、キャラクターの利用を黙示的に許諾したと認めた(キャラクターの制作や着ぐるみの製作の経緯と、地方公共団体の担当者の対応による)。明示の意思表示がないことや、稟議・決裁を経ていないことは判断を左右せず、許諾は地方自治法96条1項10号の「権利を放棄すること」に当たらないとした。当審における追加主張については、許諾は合意に基づくもので地方公共団体の単独行為とはいえず撤回できない、改正前民法594条、597条、550条を類推適用する法的根拠を欠く、とした。期間の定めのない継続的契約としての解約は、信頼関係が破壊されるなど将来にわたる契約の存続を困難にするような事由が生じた場合に限られると解したうえで、そのような事由は認められないとした。事業者による再許諾は、事前に商品の内容を協議し、監修や承認を得ることを定める契約を締結していることなどから、著作権法63条3項に違反するとまではいえないとした。取引先への書面送付や記者会見での発言等は、事業者の営業上の信用を低下させる事実を告知又は流布するものであり、地方公共団体は、これらに先立って従前のやりとりの記録を確認せず、協議も行っていなかったのだから、知的財産権の正当な権利行使や、地方公共団体としての説明義務を果たすための必要な行為とはいえず、違法性は阻却されないとした。損害は、各企画に係る逸失利益等として認め、附帯控訴に基づき、原判決主文を変更して、1887万7802円及び遅延損害金の支払を命じ、地方公共団体の控訴を棄却して、反訴請求はいずれも理由がないとした。
関係条文
不正競争防止法2条1項21号、著作権法63条1項、63条3項、地方自治法96条1項10号

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