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知的財産高等裁判所第3部 令和8年10月1日 令和8(ネ)10010 判決・原判決変更(反訴に係る部分)

屋根の遮熱構造に関する特許権侵害訴訟で、当初施工の遮熱構造の生産を侵害としつつ、特許権者が加盟店に配布した文書の記載の一部を営業上の信用を害する虚偽の事実の告知と認め、反訴請求を一部認容した。

特許権侵害差止等請求本訴、不正競争行為差止等請求反訴控訴事件

事案
「凹凸素材の遮熱構造」の特許権を有する一審原告は、一審被告の販売する遮熱材を使用して他の一審被告が施工した遮熱構造が、特許発明の技術的範囲に属するとして、両名に対し、差止めと損害賠償を求めた(本訴)。一審被告らは、一審原告がフランチャイズ加盟店に配布した文書の記載が不正競争防止法2条1項21号の不正競争に当たるとして、記載の告知の差止め、損害賠償、謝罪文の掲載を求めた(反訴)。原審は、本訴につき、施工した一審被告に対する請求を一部認容し、遮熱材を販売する一審被告に対する請求を棄却し、反訴につき、一審被告らの請求を一部認容した。双方が控訴した。
争点
本訴では、施工された2つの遮熱構造が特許発明の技術的範囲に属するか。特許に無効事由があるか。遮熱材の販売会社に侵害主体性や幇助が認められるか。反訴では、加盟店に配布した文書の記載が、営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に当たるか。
判断
本訴については、原判決の判断を維持した。当初施工の遮熱構造は、構成要件Dの「空間」について、特許請求の範囲や明細書に空間の中に部品を配置することを妨げる記載がなく、折板屋根材と遮熱シートの間に空隙があるから充足するとした。当初施工は竣工までに屋根への取付けが完了しており、その後に遮熱シートが剥落したとしても、特許法2条3項1号の「生産」に該当するとした。他方、是正工事の遮熱構造は、両面テープが残っていたとしても、その粘着力が遮熱材の取付手段として機能していたとは認められず、構成要件C及びFを充足しないとして、技術的範囲に属しないとした。3つの先行文献を主引例とする無効の抗弁は、引例の面ファスナーやピン等を、接着剤、熱溶着又は両面テープに置き換える動機付けがないなどとして、いずれも理由がないとした。遮熱材の販売会社については、ホームページの施工事例の掲載は譲渡の申出に当たらず、幇助も認められないとした。反訴については、遮熱材の販売や遮熱工事の施工で需要者又は取引者を共通にする可能性があるから競争関係にあり、加盟店に配布することも、他者に伝播する可能性が十分にあるから告知に当たるとした。文書の記載のうち、あちこちで特許侵害が見受けられたとする部分、室内の天井や壁に両面テープで直貼りした件に関する部分、訴訟で勝利すれば当該遮熱材を使用している全ての会社が特許侵害の可能性があるとする部分は、普通の注意と読み方を基準にすれば、一審被告らに特許権侵害があったことなどを告知するものと理解され、虚偽の事実を含むとした。他方、訴訟に至る経過を述べた記載は、虚偽の事実の告知に当たらないとした。過失があり、違法性は阻却されないとして、無形損害を、遮熱材の販売会社につき150万円、施工会社につき30万円と認め、これに弁護士費用を加えた165万円と33万円、及び当該記載の告知の差止めを認め、謝罪文の掲載は必要がないとして、原判決の反訴に係る部分を変更した。
関係条文
特許法2条3項1号、100条1項、不正競争防止法2条1項21号、3条1項、4条

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