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知的財産高等裁判所第2部 令和8年8月31日 令和7(ネ)10082 判決・控訴棄却

ゲームシステムとゲームプログラムに関する2件の特許権の侵害を理由とする一部請求について、原審に続き、前者は構成要件を充足せず均等侵害も成立しないとし、後者は進歩性を欠くとして、控訴を棄却した。

損害賠償請求控訴事件

事案
原告は、ゲームシステムに関する特許権(本件特許権1)とゲーム装置に関する特許権(本件特許権2)を有する。原告は、被告が提供するゲームのシステムが本件発明1の技術的範囲に、そのプログラムが本件発明2の技術的範囲にそれぞれ属すると主張し、主位的に特許権侵害に基づく損害賠償(民法709条、特許法102条2項、3項)、予備的に不当利得返還を求め、1億円と遅延損害金の支払を求めた(一部請求)。本件発明1は、購入手続で付与される第1の仮想アイテムとゲームの実行で付与される第2の仮想アイテムを区別なく利用可能なゲームシステムにおいて、両者の数量をそれぞれ記憶し、両方を保有する場合に第2に優先して第1を消費させる手段を備えるものである。本件発明2は、同一種類と判断したゲームアイテムデータを、プレイヤによる累計獲得数に応じて変更するものである。原審は、被告のシステムは本件発明1の構成要件1B及び1Cを充足せず、被告のプログラムは本件発明2の構成要件2Bを充足せず、本件発明2には進歩性欠如の無効事由もあるとして請求を棄却し、原告が控訴した。原告は当審で、均等侵害の主張を予備的に追加した。
争点
被告のゲームシステムは本件発明1の構成要件1B及び1Cを充足するか。均等侵害は成立するか。本件発明2は進歩性を欠き、無効とされるべきものか。
判断
裁判所は、原判決を補正して引用した。本件発明1について、「第1の仮想アイテムの数量」は購入手続を行うことでユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量を、「第2の仮想アイテムの数量」はゲームの実行によりユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量を意味すると解した。原告は、経済的側面から、購入ボーナスとして付与される無料のアイテムも第2の仮想アイテムに当たると主張したが、前提において採用できないとした。被告のシステムは、購入ボーナスとして付与される無料のアイテムとゲームの実行で付与されるアイテムを合算した数量を無料のアイテムの総量として表示する構成であり、第2の仮想アイテムの数量を記憶する手段を備えないとして、構成要件1B及び1Cを充足せず、文言侵害は成立しないとした。均等侵害については、本件明細書の記載から、本件発明1の特徴的部分は、第1及び第2の仮想アイテムの数量をそれぞれ記憶する手段を備えることにより、両方を保有する場合に第2に優先して第1を消費させる手段を備えたことにあると解されるとし、被告のシステムとの相違部分は本質的部分に当たるから、均等侵害の第1要件を充足しないとした。本件発明2について、被告のプログラムは、構成要件2A(⑴から⑷)、2B及び2Cを充足するとした。もっとも、本件発明2の特許出願前の刊行物等に記載された2件のゲームの発明(乙6発明及び乙39発明)について、同一種類のアイテムを複数獲得した際に累計獲得数に応じてキャラクタを強化するようパラメータを変更することは周知技術であると認め、これを各発明に適用する動機付けがあり、当業者は容易に想到し得たとした。原告の主張は採用できないとして、控訴を棄却した。
関係条文
特許法29条1項3号

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