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東京地方裁判所民事第29部 令和8年9月11日 令和6(ワ)70334 判決・請求棄却

オイルタンカーの荷役方法とポンプシステムの特許について、被告らの船舶がその構成を有すると認めるに足りる証拠がないとして、入港等の差止請求を棄却した。

特許権侵害差止等請求事件

事案
「オイルタンカーのハイブリッド荷役方法及びその方法に用いるカーゴポンプ原動機システム」の特許権を有する原告(個人)が、外国の法令に基づき設立された会社である被告らが所有又は管理する船舶の荷役方法とカーゴオイルポンプシステムは、請求項1、2に係る発明の技術的範囲に属し、船舶による荷役は特許権を侵害すると主張した。原告は、特許法100条1項に基づき、同船舶の日本国内への入港、並びに荷役方法及びシステムの日本国内での使用の差止めを求めた。
争点
被告らの船舶の荷役方法及びカーゴオイルポンプシステムは、特許発明の技術的範囲に属するか。
判断
裁判所は、被告らの船舶の荷役方法及びカーゴオイルポンプシステムが特許発明の技術的範囲に属すると認めることはできないとして、その余を検討するまでもなく、請求をいずれも棄却した。被告らは、船舶が3種のグレードのカーゴオイルを分別して運搬するオイルタンカーであることは認めたが、その余は争った。原告は、(1) 原告が船舶の建造会社にカーゴオイルポンプシステムについて助言し、船舶にはその助言どおりのシステムが搭載された、(2) 同じシリーズの別のタンカーの図面によれば、船舶は電気モーターポンプを有し、これを用いる場合は経済的合理性から特許発明の構成を用いることになる、と主張した。裁判所は、(1) について、助言の内容や搭載されたシステムの内容を裏付ける客観的な証拠は原告の陳述書のほかになく、陳述内容も原告の認識が意見として述べられているにとどまるとした。さらに、助言の事実が認められたとしても、直ちに船舶が特許発明の構成のシステムを搭載し、荷役でその方法を用いているとは認められないとした。(2) について、図面が船舶と同じシリーズのものといえるか自体が不明であり、仮にそうだとしても、同じシリーズであれば特許発明の構成が採用されるはずだという経験則を認めるに足りる証拠はないとした。そして、これらはいずれも、船舶の構成が特許発明の構成であったとしても矛盾しないという間接的な事情にとどまり、その構成を有していることを裏付けるものとはいえないとした。争点とされていた被告らによる実施の有無と差止めの必要性については、判断しなかった。
関係条文
特許法100条1項

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