← 判例ウォッチ 2026.09.21
知的財産高等裁判所第2部 令和8年9月9日 令和8(ネ)10049 判決・控訴棄却
分割出願によって出願の時が遡っても、実用新案権は設定の登録によって発生し、登録前の販売は侵害にならないとした。
損害賠償請求控訴事件
- 事案
- 実用新案権の設定登録を受けた控訴人が、昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの被告製品の製造販売は同権利の侵害であると主張して、損害賠償を求めた(控訴審では1000万円の限度)。控訴人の出願は、昭和59年9月5日の出願に由来する分割出願で、設定の登録は平成22年4月2日だった。原審は請求を棄却した。
- 争点
- 分割出願により出願の時が遡る場合、実用新案権の効力も、もとの出願の時に遡って発生するか。
- 判断
- 実用新案権は設定の登録により発生する(実用新案法14条1項)。登録は平成22年4月2日であり、それより前の販売を侵害ということはできない。実用新案法11条1項が準用する特許法44条2項は、出願の時が遡ることを定めるもので、実用新案権が遡って発生することを定めるものではないとした。
- 関係条文
- 実用新案法14条1項、11条1項、特許法44条2項
同じ法令が関係する判例
- 知的財産高等裁判所第1部 令和8年10月8日 令和8(行ケ)10019トレーディングカードの抽選に関するシステムの特許について、審査段階の補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内にないとして、特許を取り消した決定を維持した。
- 知的財産高等裁判所第3部 令和8年10月1日 令和8(ネ)10010屋根の遮熱構造に関する特許権侵害訴訟で、当初施工の遮熱構造の生産を侵害としつつ、特許権者が加盟店に配布した文書の記載の一部を営業上の信用を害する虚偽の事実の告知と認め、反訴請求を一部認容した。
- 知的財産高等裁判所第4部 令和8年9月30日 令和8(行ケ)10029樹脂製食器を成形する製造方法の特許について、サポート要件違反と明確性要件違反の無効理由を認めなかった審決を維持した。
- 知的財産高等裁判所第1部 令和8年9月17日 令和8(ネ)10040茶の製造方法の特許権侵害訴訟で、構成要件の「嫌気処理した後、好気処理する操作を交互に繰り返した後」の意味を示し、被告方法はこれを充足しないとした原判決を維持した。
- 知的財産高等裁判所第2部 令和8年9月16日 令和8(行ケ)10020「相続ワンストップ」の文字からなる商標の登録出願を拒絶した審決について、商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するとした判断に誤りはないとして、請求を棄却した。
- 東京地方裁判所民事第29部 令和8年9月11日 令和6(ワ)70334オイルタンカーの荷役方法とポンプシステムの特許について、被告らの船舶がその構成を有すると認めるに足りる証拠がないとして、入港等の差止請求を棄却した。
- 東京地方裁判所民事第47部 令和8年8月4日 令和6(ワ)70538加熱式たばこ用のスティックに関する特許権の侵害が争われた事件で、被告製品は構成要件を充足せず、特許にはサポート要件違反及び実施可能要件違反の無効理由もあるとして、請求を棄却した。
- 知的財産高等裁判所第2部 令和8年8月31日 令和7(ネ)10082ゲームシステムとゲームプログラムに関する2件の特許権の侵害を理由とする一部請求について、原審に続き、前者は構成要件を充足せず均等侵害も成立しないとし、後者は進歩性を欠くとして、控訴を棄却した。
裁判所ウェブサイトの「最近の裁判例」に新しく掲載された裁判例を、週に一度、要旨にまとめています。裁判所が作成した要旨ではありません。要約の過程で、誤りや抜けが生じることがあります。引用や判断の根拠にする前に、必ず裁判所ウェブサイトの全文を確認してください。掲載は網羅的ではなく、個別の事案についての法的助言でもありません。