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名古屋高等裁判所 令和8年9月11日 令和8(行コ)11 判決・控訴棄却(追加請求の訴えは却下)

死刑確定者に関する死刑執行上申書等の開示請求に対し、文書の存否を明らかにしないで不開示とした決定を適法とし、控訴を棄却した。

行政文書不開示決定取消請求控訴事件

事案
控訴人は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律3条に基づき、ある死刑確定者に関する死刑執行上申書及びその添付資料の一切の開示を請求した。法務大臣は、文書の存否を答えるだけで同法5条1号及び4号の不開示情報を開示することとなるとして、同法8条により、存否を明らかにしないで不開示とする決定をした。第1審は決定を適法として請求を棄却した。控訴後に控訴人が追加した開示決定の義務付けの訴えを含めて、差戻し前の控訴審が請求を棄却し、又は却下したところ、最高裁判所は、存否を答えるだけで不開示情報を開示することとなるかを判断していないとして、これを破棄し、本件を差し戻した。
争点
対象文書が同法5条1号及び4号の不開示情報に該当するか。同法8条により存否を明らかにしないでした不開示決定は違法か。
判断
5条1号について、文書には、死刑確定者の氏名、職業、本籍、住居等のほか、罪名、裁判結果、捜査の端緒等が記載され、個人識別情報であり、プライバシーを中核とする個人情報にわたり、遺族や被害者及びその遺族の名誉やプライバシーにも密接に関わる情報であるから、同号本文の個人情報に該当するとした。開示の可否は、請求者の個別的事情によって左右されないとした。同号ただし書ロについては、文書の存在を公にすることが遺族らの生命、健康、生活又は財産の保護に直ちに結びつくとはいえないとして、否定した。5条4号について、行政機関の長の判断を尊重する趣旨であり、不開示処分が違法となるには裁量権の逸脱又は濫用が必要で、知る権利を考慮しても厳格な判断基準によるとはいえないとした。死刑執行の上申は執行手続の一環であり、文書の内容は未執行の死刑確定者にとって極めて強い関心を有する事柄で、公になれば、執行時期等を憶測して精神的安定性を失い、自殺、自傷、逃走等の混乱を生じ、収容業務に支障を及ぼすおそれがあるから、処分行政庁の判断が社会通念上著しく妥当性を欠くとは認められないとした。8条について、同条の要件について更に厳格な基準を設けることは相当でないとした。刑訴法475条2項の6か月の期限は訓示的規定と解され、再審請求等の場合は期間に算入されないことから、上申書が6か月以内に必ず提出されるとまではいえないとした。文書の存否を明らかにすることは、死刑執行手続がどの審査段階にあるかという手続経過を明らかにすることとなり、5条1号及び4号の不開示情報を開示することにほかならないとして、存否応答拒否を適法とした。追加された開示決定の義務付けの訴えは、訴訟要件を欠き不適法であるとして、却下した。
関係条文
行政機関の保有する情報の公開に関する法律3条、5条1号、5条4号、8条、刑事訴訟法475条2項、行政事件訴訟法37条の3第1項2号

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