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最高裁判所第二小法廷 令和5年1月30日 令和3(受)2050 判決・破棄自判

発信者情報に電話番号を加えた令和2年の総務省令の改正の前にされた投稿についても、改正後に電話番号の開示を請求できるとした。

発信者情報開示請求事件

事案
平成30年11月、インターネット上の電子掲示板に、会社の役員である原告について、私腹を肥やしているとの印象を与え、容姿を揶揄する記事が匿名で投稿された。原告は令和元年6月、投稿者にインターネット接続サービスを提供した経由プロバイダに対し、投稿者の氏名、住所等の開示を求めて提訴した。発信者情報を定める総務省令は、令和2年8月31日施行の改正で発信者の電話番号を加えた。原告は改正後の同年9月、原審で電話番号の開示請求を追加した。原審は、改正省令の施行前にされた権利侵害について電話番号の開示を認めることは発信者の通信の秘密や表現の自由を侵害するもので、遡及適用を許す規定もないとして、電話番号の請求を棄却した。
争点
総務省令の改正で発信者情報に電話番号が加えられる前にされた投稿について、改正後に、法4条1項(令和3年改正前)に基づいて電話番号の開示を請求できるか。
判断
法4条1項は、法の施行から令和3年改正まで改正されていない。省令の改正に、施行前の権利侵害に係る開示請求について改正後の規定の適用を排除する経過措置は置かれていないから、施行後にされた開示請求には、権利侵害に係る情報の流通の時期にかかわらず改正後の省令が適用される。法4条1項が開示の対象を総務省令に委ねた趣旨は、技術の進歩や社会環境の変化で発信者の特定に資する情報が変わり得るため、省令の改正で機動的に対応できるようにすることにあり、改正は発信者情報に電話番号を加えるにとどまるから、施行後の権利侵害に限って電話番号が開示の対象になると解することはできない。したがって、権利侵害が改正省令の施行前であっても、施行後に電話番号の開示を請求することができる。原判決のうち追加請求に関する部分を破棄し、電話番号の開示を命じた。裁判官全員一致。
関係条文
改正前プロバイダ責任制限法4条1項、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令3号
判示事項
令和2年総務省令第82号の施行前に特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者がプロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することの可否(裁判所ウェブサイトの記載)

English summary

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