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著作権の権利ガイド テーマ別:写真・イラスト

写真・イラストの規範の整理(専門家)

写真の著作物の創作性、類似性の判断、ネット上の無断利用の損害の算定について、裁判所の判断を整理します。

このページの判決文の引用は、裁判所ウェブサイトの PDF をもとにしていますが、原本との文言の照合がまだ済んでいません。照合前の引用には「原文照合前」と表示しています。正確な文言は、各判決の全文で確認してください。

1. このページの範囲

このページは、写真の著作物の創作性と保護の範囲、ネット上の無断利用の損害の算定について、裁判所の判断を整理するものです。評価や実務への示唆は書いていません。金額の数字は載せていません。

2. 条文の構造

著作権法(e-Gov 法令検索)

第10条第1項第8号
写真の著作物
著作物の例として写真の著作物を挙げる。イラスト・絵画は美術の著作物(第4号)。
第21条・第23条
複製権・公衆送信権
画像をサーバーに保存する行為は複製、Webページで公開する行為は公衆送信(送信可能化を含む)に当たる。
第30条の2
付随対象著作物の利用(写り込み)
写真の撮影や配信などに付随して、背景などに写り込んだ著作物は、正当な範囲内で利用できる。
第114条第3項
使用料相当額
著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を、損害として請求できる。

表は条文の要点をまとめたもので、条文の文言そのものではありません。

3. 判決ごとの整理

最高裁判決は通称を1回だけ併記し、下級審は裁判所・日付・事件番号で示します。当事者は役割で書いています。金額の数字は載せていません。

東京高等裁判所 平成13年6月21日判決(平成12年(ネ)第750号)

事案

料理や食材の写真を撮る[写真家]が、すいかを被写体にした写真を撮り、写真集に載せていました。

[別の写真家]が、すいかを被写体にした似た写真を撮り、[会社]がそれを写真のカタログに載せました。[写真家]が、翻案権や同一性保持権の侵害を理由に、損害賠償やカタログの発行の差止めなどを求めました。

裁判所の判断

写真の創作性は、最終的に写真として示されているものが何を持っているかによって判断すべきだとし、撮影や現像の工夫だけでなく、被写体の決定(素材の選択、組合せ、配置)の創作性も考慮すべきだとしました。

[別の写真家]の写真は、もとの写真に依拠してつくられたもので、もとの写真の本質的な特徴を備えているとして、同一性保持権の侵害を認め、カタログの発行の中止などを命じました。

判決文から

「写真著作物における創作性は,最終的に当該写真として示されているものが何を有するかによって判断されるべきものであり」原文照合前

判決全文(裁判所ウェブサイト、PDF)

知的財産高等裁判所 令和4年12月21日判決(令和4年(ネ)第10082号)

事案

[写真の著作権者]が、オンラインショップのウェブページに商品写真を無断で載せられたとして、[ショップの運営者]に損害賠償を求めました。

裁判所の判断

損害の額は、著作権法第114条第3項(使用料に相当する額)で算定しました。

その額は、著作物の利用期間、利用態様、著作物から得られる内容や価値、侵害者の内心の態様、市場の状況、ほかの人への許諾の状況などを総合して決める、としました。

写真はウェブページごとではなく、ストア(店舗)ごとに一体として利用されているとみて、店舗を基準に算定しました。

判決文から

「当該著作物の利用期間、利用態様、当該著作物から享受できる内容又は価値、侵害者の内心の態様(同条5項参照)、当該著作物を利用する市場の状況、他の者への利用許諾の状況等の諸般の事情を総合考慮して定めるべきものである。」原文照合前

判決全文(裁判所ウェブサイト、PDF)

知的財産高等裁判所 令和5年3月9日判決(令和4年(ネ)第10105号)

事案

同じく、オンラインショップの商品写真について、[写真の著作権者]が損害賠償を求めた事件です。

裁判所の判断

使用料に相当する額は、利用回数や利用から生じた利益など、侵害行為の物理的な分量だけで決めるのではない、としました。

そのうえで、上の判決と同じ諸般の事情を総合して決めるとし、ページ数を基準にした算定を退けました。

判決文から

「当該著作物の利用回数あるいは当該利用から生じた利益等の、当該著作物の直接の侵害行為の物理的な分量に従うのみならず」原文照合前

判決全文(裁判所ウェブサイト、PDF)

4. 並べて見えること

  • ・東京高裁平成13年6月21日判決は、写真の創作性を「最終的に当該写真として示されているもの」によって判断するとし、被写体の決定(素材の選択、組合せ、配置)における創作性も考慮しました。
  • ・ネットショップへの商品写真の無断掲載について、知財高裁は、使用料相当額を、利用期間、利用態様、享受できる内容・価値、侵害者の内心の態様、市場の状況、許諾の状況などの総合考慮で定めるとし、侵害行為の物理的な分量だけによらないとしました(令和4年12月21日判決、令和5年3月9日判決)。
  • ・算定の単位について、同じ写真が多くのページに載っていても、店舗ごとに一体の利用とみた判断があります。

5. 残る問い

  • ・被写体の選択・配置の創作性が認められた写真について、どこまで似ていれば本質的な特徴を備えるといえるのか。
  • ・AIで生成した画像や、写真をもとにしたイラスト(トレース)の場合に、同じ枠組みがどう使われるか。
  • ・SNS での画像の転載や、埋め込み表示が、どのような場合に権利侵害になるか(公衆送信権のページも参照)。

6. 資料

判決の整理は、判決文に書かれていることをまとめたもので、評価や、個別の事案への当てはめを示すものではありません。法律相談・法的助言ではありません。

【試作】このページの条文は、e-Gov 法令検索の原文との確認がまだ済んでいません。順に取得し直します。その後の改正は反映されていないことがあります。引用や判断の根拠にする前に、e-Gov 法令検索で最新の条文を確認してください。行政資料の記載は、各資料の原文で確認してください。このページは著作権制度の一般的な説明で、法律相談や個別の事案についての法的助言ではありません。