著作権の権利ガイド テーマ別:ライセンス
ライセンス・利用許諾の規範の整理(専門家)
第63条・第63条の2の構造と、頒布権の消尽についての最高裁の判断を整理します。
このページの判決文の引用は、裁判所ウェブサイトの PDF をもとにしていますが、原本との文言の照合がまだ済んでいません。照合前の引用には「原文照合前」と表示しています。正確な文言は、各判決の全文で確認してください。
1. このページの範囲
このページは、利用許諾(第63条)と利用権の対抗(第63条の2)の条文の構造と、頒布権の消尽についての最高裁の判断を整理するものです。評価や実務への示唆は書いていません。オープンソースのライセンスや、ライセンス違反の損害の算定は、ここでは扱いません。
2. 条文の構造
- 第63条第1項
- 利用の許諾
- 著作権者は、他人に著作物の利用を許諾することができる。
- 第63条第2項
- 許諾の範囲
- 許諾を得た者は、許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、著作物を利用できる。
- 第63条第3項
- 利用権の譲渡
- 許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡できない。
- 第63条の2
- 利用権の対抗力
- 利用権は、当該利用権に係る著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる(令和2年改正)。
- 第26条・第26条の2
- 頒布権・譲渡権
- 譲渡権には適法な譲渡後の消尽の規定がある(第26条の2第2項)。映画の著作物の頒布権には、その規定がない。
表は条文の要点をまとめたもので、条文の文言そのものではありません。
3. 判決ごとの整理
最高裁判決は通称を1回だけ併記し、下級審は裁判所・日付・事件番号で示します。当事者は役割で書いています。金額の数字は載せていません。
最高裁判所第一小法廷 平成14年4月25日判決(平成13年(受)第952号ほか)
いわゆる中古ゲームソフト事件
事案
家庭用テレビゲーム機用のゲームソフトをつくる[ゲーム会社]らが、ゲームソフトの中古品を買い取って販売する[販売業者]に対して、頒布権の侵害を理由に、中古品の販売の差止めなどを求めました。
ゲームソフトは、映像が連続して映し出されることから、映画の著作物に当たるとされ、頒布権(第26条)の対象になるかが争われました。
裁判所の判断
家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡された複製物について消尽し、その効力は、その複製物を公衆に提示することを目的としないで再譲渡する行為には及ばないとしました。
[ゲーム会社]らの請求を認めなかった原判決を維持し、上告を棄却しました。
判決文・裁判要旨から
裁判要旨「家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は,いったん適法に譲渡された複製物について消尽し,その効力は,当該複製物を公衆に提示することを目的としないで再譲渡する行為には及ばない。」原文照合前
4. 並べて見えること
- ・第63条第2項は、許諾を受けた者の利用を「利用方法及び条件の範囲内」に限っており、範囲外の利用は許諾のない利用となる構造です。
- ・第63条の2は、令和2年改正で、登録を要件とせずに利用権の対抗を認めました。対抗できるのは利用権そのもので、契約上の地位の承継については規定していません。
- ・最高裁平成14年4月25日判決は、家庭用テレビゲーム機用の映画の著作物の複製物について、頒布権のうち公衆への譲渡の権利が、適法な譲渡によって消尽し、公衆に提示することを目的としない再譲渡には及ばないとしました。
5. 残る問い
- ・ライセンス契約の条件のうち、どの条件の違反が、許諾の範囲外の利用(著作権の侵害)に当たり、どの条件の違反が契約違反にとどまるのか。
- ・第63条の2により利用権を対抗できる場合に、対価の支払などの契約上の条件はどう扱われるか。
- ・ダウンロード販売のように複製物の譲渡を伴わない提供で、再販売がどう扱われるか。
6. 資料
判決の整理は、判決文に書かれていることをまとめたもので、評価や、個別の事案への当てはめを示すものではありません。法律相談・法的助言ではありません。
【試作】このページの条文は、e-Gov 法令検索の原文との確認がまだ済んでいません。順に取得し直します。その後の改正は反映されていないことがあります。引用や判断の根拠にする前に、e-Gov 法令検索で最新の条文を確認してください。行政資料の記載は、各資料の原文で確認してください。このページは著作権制度の一般的な説明で、法律相談や個別の事案についての法的助言ではありません。