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著作権の権利ガイド テーマ別:職務著作・帰属

職務著作・権利の帰属の規範の整理(専門家)

第15条第1項の「法人等の業務に従事する者」の判断基準と、第61条第2項の推定について整理します。

このページの判決文の引用は、裁判所ウェブサイトの PDF をもとにしていますが、原本との文言の照合がまだ済んでいません。照合前の引用には「原文照合前」と表示しています。正確な文言は、各判決の全文で確認してください。

1. このページの範囲

このページは、職務著作(第15条)と著作権の譲渡(第61条)について、条文と最高裁の判断を整理するものです。評価や実務への示唆は書いていません。映画の著作物の帰属(第16条・第29条)は、ここでは扱いません。

2. 条文の構造

著作権法(e-Gov 法令検索)

第15条第1項
職務著作
法人等の発意に基づき、法人等の業務に従事する者が職務上作成し、法人等の名義で公表する著作物は、作成時の契約・勤務規則等に別段の定めがない限り、法人等が著作者となる。
第15条第2項
プログラムの著作物
法人等の名義で公表することを要しない。
第59条
著作者人格権の一身専属性
著作者人格権は譲渡できない。職務著作では法人等が著作者人格権を持つ。
第61条第1項
著作権の譲渡
著作権は、その全部または一部を譲渡できる。
第61条第2項
第27条・第28条の権利の留保の推定
譲渡の契約で第27条・第28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、譲渡人に留保されたものと推定する。
第77条
譲渡の登録
著作権の移転は、登録しなければ第三者に対抗できない。

表は条文の要点をまとめたもので、条文の文言そのものではありません。

3. 判決ごとの整理

最高裁判決は通称を1回だけ併記し、下級審は裁判所・日付・事件番号で示します。当事者は役割で書いています。金額の数字は載せていません。

最高裁判所第二小法廷 平成15年4月11日判決(平成13年(受)第216号)

いわゆるRGBアドベンチャー事件

事案

外国籍の[デザイナー]が、観光ビザで日本に滞在し、アニメーションの企画などをする[会社]の事務所で作業をして、会社の企画するアニメーションに使う図画を作成しました。会社からは、毎月、基本給の名目で一定額の支払を受け、給料支払明細書も受け取っていました。

[デザイナー]が、図画の著作権は自分にあるとして、[会社]に使用の差止めなどを求めました。原審は、在留資格や雇用契約書がないことなどから雇用関係を否定し、職務著作に当たらないとしていました。

裁判所の判断

雇用関係の存否が争われた場合、「法人等の業務に従事する者」に当たるかは、法人等と作成者との関係を実質的にみて、法人等の指揮監督下で労務を提供する実態にあり、法人等が支払う金銭が労務提供の対価と評価できるかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額や支払方法などの具体的事情を総合的に考慮して判断すべきだとしました。

指揮監督をしていたかを確定せず、在留資格の種別や雇用契約書の存否などの形式的な事由を主な根拠として雇用関係を否定した原審の判断には違法があるとして、原判決を破棄し、差し戻しました。

判決文・裁判要旨から

「法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり,法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して,判断すべきものと解するのが相当である。」原文照合前
裁判要旨「甲がした作業について乙が指揮監督をしていたかどうかを確定することなく,甲の在留資格の種別,雇用契約書の存否等の形式的な事由を主たる根拠として,甲と乙との間の雇用関係の存在を否定し,甲が著作権法15条1項にいう「法人等の業務に従事する者」に当たらないとした原審の判断には,違法がある。」原文照合前

判決全文(裁判所ウェブサイト、PDF)

4. 並べて見えること

  • ・最高裁平成15年4月11日判決は、雇用関係にある者が「法人等の業務に従事する者」に当たることは明らかだとしたうえで、雇用関係の存否が争われた場合の判断基準として、指揮監督下での労務の提供という実態と、支払われる金銭の労務提供の対価性を挙げ、業務態様、指揮監督の有無、対価の額と支払方法などを総合的に考慮するとしました。
  • ・同判決は、在留資格の種別や雇用契約書の存否といった形式的な事由を主な根拠とする判断を否定しています。
  • ・第61条第2項は推定の規定であり、条文上、特掲がない場合の帰属は反証によって覆り得る形になっています。

5. 残る問い

  • ・雇用関係にない者(業務委託・派遣など)がつくった作品について、同判決の基準はどう使われるか。
  • ・第61条第2項の推定は、どのような契約の経緯や対価の事情があれば覆るか。
  • ・職務著作の「法人等の発意」は、どの程度の関与があれば認められるか。

6. 資料

判決の整理は、判決文に書かれていることをまとめたもので、評価や、個別の事案への当てはめを示すものではありません。法律相談・法的助言ではありません。

【試作】このページの条文は、e-Gov 法令検索の原文との確認がまだ済んでいません。順に取得し直します。その後の改正は反映されていないことがあります。引用や判断の根拠にする前に、e-Gov 法令検索で最新の条文を確認してください。行政資料の記載は、各資料の原文で確認してください。このページは著作権制度の一般的な説明で、法律相談や個別の事案についての法的助言ではありません。