画像生成AIで説明用の漫画を作ってみた記録 ― 絵はAI、セリフはプログラムで入れる
作ってみた記録です。著作権の漫画は公開しています(22ページの物語漫画は公開していません)。特定のサービスの性能や安全性を評価・保証するものではありません。仕様や料金は変わるので、使う前に各サービスの画面で確認してください(2026年10月時点)。法律相談・法的助言ではありません。
前回は、説明用の動画をプログラムで描いて作りました。今回は漫画です。法律の基本を説明する漫画が、どこまで機械で作れるかを試しました。題材は二つで、一つは「著作権の基本」を教授と学生の会話で説明する10ページの漫画、もう一つは中学生4人が主人公の22ページの物語漫画(創作)です。
分担:絵はAI、文字はプログラム
画像生成AIは、日本語の文字を正確に描けません。説明用の漫画では、条文やセリフが一字でも違えば困ります。そこで最初から、絵は画像生成AI(Higgsfield経由のNano Banana Pro)に描かせ、文字は後からプログラムで重ねる、と分けました。
- 脚本:コマごとの絵の内容とセリフを、先に文章で決めておく。
- キャラクター表:登場人物を正面・横・後ろ・表情の一覧で1枚ずつ描かせ、以後のページはこの表を参照させる。
- ページの絵:1ページ分のコマ割りと各コマの内容を、まとめて指示する。
- 文字入れ:セリフ(縦書き)、ナレーション、条文の枠、ページ下の表示を、プログラム(Python)で重ねる。フォントは商用利用できるもの(Zen Maru Gothic)を使った。
AIが描いた絵で直したこと
生成した各ページは、Claudeに1枚ずつ見てもらい、脚本と合っているかを確認しました。次のようなものが見つかり、描き直すか、文字入れのときに処理しました。
- 「文字を描かない」と指示しても、人物の横に名前のラベルや、ボードに英字の数式が描かれていた。
- 主人公の髪の色がページによって変わっていた(キャラクター表と違う)。
- 顔のないはずの敵役に、別の登場人物の顔が描かれていた。
- 1ページだけ、白黒の指定なのにセピア色になっていた。白黒に変換して合わせた。
- コマの数が指定と違う、同じ人物のコマが重複する、といった崩れがあった。
人物の描き分けは、キャラクター表を渡すだけでは安定しませんでした。「この人物は必ず黒髪」「この人物には顔を描かない」と、決まりを文章でも書き添えると、崩れが減りました。
吹き出し:AIに描かせると、セリフがずれる
最初は、空の吹き出しをAIに描かせ、プログラムが画像から吹き出しを見つけて、脚本のセリフを順に入れる方法をとりました。10ページの漫画ではうまくいきましたが、22ページの漫画では、セリフが別の人物の吹き出しに入るページが出ました。
- 形の崩れた吹き出し(トゲのある形など)を見つけ損ねると、そこから後のセリフが一つずつずれる。
- 人物の白い服や白い背景を、吹き出しと取り違える。
- AIは、指定した数より多く、または少なく吹き出しを描く。
- AIは欧米の漫画と同じく、左から右へ読む順にコマを並べる傾向がある。日本語の漫画は右から読むので、絵を左右反転して順番を合わせた(絵に文字がないので反転できる)。
そこで22ページの漫画は、吹き出しを描かせずに絵だけを生成し直し、吹き出しはプログラムが脚本のコマ順に描く方法に変えました。これでセリフの順番のずれはなくなりました。代わりに、吹き出しは話している人物の近くではなく、コマの上側にまとめて置く形になっています。人物の位置まで合わせるには、まだ人の手が要ります。
費用と時間
- 生成サービスのクレジット:10ページの漫画で約20、22ページの漫画で約100(作り直しを含む)。1ページの生成は2クレジット。
- 時間:脚本ができてから、待ち時間を含めて数時間。いちばん時間を使ったのは、文字入れの調整と、AIの絵の確認。
- 依頼者や事件に関する情報は、外部の生成サービスに入力していない。
できていないこと
- 10ページの漫画で引用した条文(著作権法2条1項1号、17条2項、32条1項)は、条文を掲載した資料で文言を確かめた。e-Govの原文との照合は、作業した環境からつながらず、まだできていない。
- 背表紙などに、意味のない英字が残っているコマがある。
- 吹き出しを、話している人物の位置に合わせて置くこと。
- 各ページの下に「AIで生成したイメージです」「法律相談・法的助言ではありません」と事務所名を表示している。
感想
漫画でも、動画のときと同じ結論になりました。絵を描く、文字を並べる、何ページも作り直す、といった作業は機械がこなします。一方で、何を説明するか、条文が正確か、絵が脚本と合っているか、どこまでで「完成」とするかは、人が決めて確かめる必要がありました。説明用の漫画は「正しく伝わるか」が中身なので、確認の手間は省けません。
- できた漫画:「はじめての著作権」(全10ページ・PDF)
- 前回のノート:解説動画をClaude Codeで作った記録
- Zen Maru Gothic(Google Fonts、SIL Open Font License)
本記事は、特定のサービスの性能や安全性を評価・保証するものではなく、作ってみた記録です。依頼者や事件に関する資料は、外部の生成サービスに入力していません。