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知的財産高等裁判所第2部 令和8年9月9日 令和8(行ケ)10016 判決・請求認容(審決取消し)
拒絶査定不服審判の不成立審決が、補正前の特許請求の範囲の請求項1を対象に判断していたとして、手続上の瑕疵があるとして審決を取り消した。
審決取消請求事件
- 事案
- 原告は、転がり軸受に関する特許出願をし、拒絶査定を受けて不服審判を請求した。その後、拒絶理由の通知を受けて手続補正書を提出し、請求項1の記載を補正した。補正により、「軸受停止時に対する軸受動作時の内輪軌道及び外輪軌道の温度上昇値」とする部分が、「軸受動作時の内輪軌道及び外輪軌道の温度」とする記載に改められた。特許庁は、請求項1の記載の明確性、実施可能要件及び進歩性が認められないとして、審判請求は成り立たないとの審決をした。審決は、冒頭では補正後の請求項1を記載しているが、判断の部分では補正前の請求項1の文言を前提としていた。被告(特許庁長官)は、審決の記載に誤りがあることは認めたが、結論には影響しないと主張した。
- 争点
- 審決が、補正後の請求項1に係る発明ではなく、補正前の請求項1に係る発明を対象として明確性、実施可能要件、進歩性を判断したことが、審決の取消事由となるか。
- 判断
- 裁判所は、審決の理由欄で、補正後の請求項1が記載されている一方、明確性及び進歩性の判断の部分では、一貫して補正前の請求項1の記載が引用され、補正前の請求項1に係る発明を対象に審理判断されていると認定した。そのうえで、審決には、補正後の請求項1に係る発明を対象として明確性、実施可能要件、進歩性等を審理判断すべきであるのに、補正前の請求項1に係る発明を対象としてこれらを審理判断した手続上の瑕疵があるとした。審理判断の対象を異にする以上、これが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるとして、審決を取り消し、訴訟費用は被告の負担とした。明確性、実施可能要件及び進歩性に関する当事者の主張の当否については、判断していない。
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